〜航空阻止攻撃〜

航空阻止攻撃(INT:イント)
アメリカの立場から見ると現代の航空戦で最も重要なミッションです。
CASやBAIは戦術的要素の強い対地攻撃任務ですがINTは戦略色が強く、敵国の戦争継続能力を削ぐため発電所や通信指揮施設、テレビ局、飛行場、軍港、駐屯地、兵器工場、そして補給路を断つため橋梁の破壊、鉄道や高速道路等の寸断等、重要施設に対して爆撃を行なうミッションです。F-15Eストライクイーグル本来の任務はこの航空阻止攻撃にあり、こういった戦略施設を敵領内深くに侵攻し破壊する任務を｢ディープストライク｣とも呼ばれます。

ディープストライクはF-15Eならではの任務であり、空中給油を受ける事の出来ない敵国領内へと深く侵攻し、爆撃を行うため比較的小型で搭載量の少ないF-16やF/A-18にやらせようというのは無理な話なのです。

大搭載量の艦上攻撃機A-6イントルーダーの後継であったA-12アヴェンジャー艦上ステルス攻撃機計画は予算オーバーにより中止され、実質上の後継機となったF/A-18ホーネットは航続距離の短さが問題視されており航空阻止攻撃を行なう能力が明らかに欠如しておりました。より航続距離を伸ばし兵装搭載力が増したF/A-18EFスーパーホーネットが開発されたことは当然の処置といえます。

F-16にも搭載力を増し、デルタ翼を持つ阻止攻撃型F-16Eスーパーファルコン(F-16XL)が2機開発されましたが、F-15Eとの次期DRF採用競争のすえに敗れさりました。
余談になりますがF-16は何故｢ファルコン｣ではなく｢ファイティングファルコン｣かというと、｢ファルコン｣ビジネスジェットを開発したフランスのダッソー社から訴えられないようにするための配慮だそうです。

長距離を飛行するINTミッションを行なう場合、2〜3時間のブリーフィングを行ない、入念な侵攻計画が立てられます。CAPやCASのように常に管制を受けて飛行することはないのです。地対空レーダーに発見されないように水平線の下に隠れて超低空を飛行することも多く、低空を飛行すれば山に隠れる事(山の向こう側のレーダーからは探知されなくなります)も出来ますし、対空砲火の有効射程内を素早く抜けることも可能です(ただし命中率は高くなる)。強力なSAMに狙われないようにするために最も有効な侵攻方法なのです。
「ワイルドウィーゼル」の活躍によりSAMの脅威が低下すればミッションはより高い高度で行なわれことでしょう。10000ftも上昇すれば対空砲火が命中することはまずありません。

戦略施設への爆撃はレーザー誘導爆弾やGBU-15,JDAMなどの精密誘導兵器を用い、一撃必中スマートボムで破壊するのが普通です。ディープストライクは非常に危険な任務なので同じ目標に対して何度も爆撃をするのは効率が悪すぎます。また、高価値地下塹壕の場合はGBU-28ディープスロート4800ポンド爆弾やBLU-118/Bサーモバリックを用いる場合もあるでしょう。

AGM-130等の｢長距離スタンドオフ射程｣を有する兵器の使用はレーザー誘導爆弾と比較すると回数は少ないものの、長距離から発射し直後に母機が離脱する事ができるのでより高価値な目標で危険度の高いミッションで使用されます。

少々異なる攻撃として、クラスター爆弾ユニットの内部に細く長い導電性物質(チャフのような物)を詰め込んだ爆弾を比較的高い高度で炸裂させ、高圧送電線を短絡することにより停電を起こさせる｢サイバーウェポン｣を使用する場合もあります。実際ユーゴコソボ紛争で使用されました。

INTミッション武装例

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