〜LANTIRN〜
Low Altitude Navigation and Targeting InfraRed for Nightランターンと読みます。平たく言えば赤外線暗視カメラ。航法用と照準用のLANTIRNがあり、胴体下の前の方に二つ装着されています。左側の写真では向かって右側が航法用、左側が照準用です。(右側の写真のように装備する際は左が航法用、右が照準用。)このLANTIRNを装備した戦闘機はF-15Eが世界初で、LANTIRNにより「真の意味」での夜間戦闘機が出来上がったと言えるでしょう。従来の夜間戦闘機(攻撃機)は、「夜間でも攻撃が可能」といった程度で、F-15Eは超低高度で高速侵入し昼夜問わず目標を捕捉し兵器を発射することができる。「夜間でも悪天候でも晴天と全くかわらない攻撃が可能」なのです。
航法用LANTIRNは、夜間の地形追随飛行を容易な物にします。LANTIRNポッド内臓コンピュターを介して熱い部分と冷たい部分をその強弱にしたがい、緑から黒の階調でMFDやHUDに幻想的な画像として表示され、熱い部分と冷たい部分どちらを黒にするか緑にするかはクルーの好みによりいつでも自由に変更でき、どちらの場合でも非常に鮮明な画像が映し出されます。
照準用LANTIRNはMFDに表示されます。事あるごとにテレビなどで放映されているので、あまり知らない人も見る機会が非常に多いのでは無いでしょうか。主に地上の建築物や車両のロックオンに用います。通常、大まかな照準位置を設定するには、レーダーと連動させてレーダーロックしている地点を照準させます、次に後部座席に存在する左右のスティックを使い手動でカメラの向きを修正する事により、建物単位ではなく「どの窓を攻撃するか」というレベルまで照準を絞り込む事が出来ます。レーザー誘導爆弾へのレーザー照射も担当します。
また、熱源追尾するので走行車両をロックオンした場合は照準が自動的に動き常にMFDに走行車両が映し出され続けられます。
戦闘機の追尾も可能で目視限界距離でも、また夜間でも敵機の識別が可能になりますが、実際役に立つのかはやや不明であります。
パイロットと兵装システム仕官は作業を円滑に進めるため、お互いにおなじLANTIRNを使用しないようにパイロットは主に航法用を、兵装システム仕官は照準用をつかうことが多いようです。
F-15E=LANTIRN標準装備と思われがちですが、湾岸戦争ではLANTIRNを搭載せずに出撃する事も珍しくありませんでした。原因はLANTIRNの製造が遅れて不足気味だった事にあります。LANTIRNの単価があまりにも高かったのです。
最初のLANTIRNポッドは1987年に配備され生産台数は航法LANTIRN770台。照準LANTIRN724台。米軍向けの生産は1994年で終了しました。現在はF-16,F/A-18,F-14アップグレードにも搭載されており、バーレーン、エジプト、ギリシャ、イスラエル、サウジアラビア、シンガポール、韓国、オランダ、トルコなど外国にも輸出されています。
また、現在ではより高性能かつ、2つのLANTIRNの機能を1つにしたATFLIRやLITENINGといった後継FLIRが既に実用化されています。
全長
航法用LANTIRN、78.2インチ(1.99メートル)
照準用LANTIRN、98.5インチ(2.51メートル)
直径
航法用LANTIRN、12インチ(0.31メートル)
照準用LANTIRN、15インチ(0.38メートル)
重量
航法用LANTIRN 451.1ポンド(204.6キログラム)
照準用LANTIRN 530ポンド(240.7キログラム)
単価
航法用LANTIRN 1億5000万円
照準用LANTIRN 3億6000万円