〜AIM-7〜
スケールは1m |
AIM-7スパローの開発はなんと第二次世界大戦中の1945年から始まり、試行錯誤の末に「AIM-7A」が実用化したのは1956年で主任務は敵(ソ連製)爆撃機の撃墜にあります。
大型で鈍重な爆撃機を目標に設計されただけに小型で俊敏な戦闘機への命中率には問題があり、また目視で確認を行ってからAIM-7を発射するという、本来の目的とは全く違った使用方法を強制されていたためベトナム戦争前期では信頼のおけないミサイルでした。
ベトナムにおける戦訓から1972年ベトナム戦争も後期に入ると画期的なAIM-7Eスパローが登場。AIM-7Eは従来のスパローに比べ機動性が2倍になり、F-4ファントムから4人のエースパイロットが誕生しました。
湾岸戦争では主に妨害耐性や信頼性が飛躍的に向上されたAIM-7Mが使用され多数の撃墜を記録しました。F-15+AIM-7での組み合わせが最も撃墜数が多く、全撃墜数のほとんどすべてをスパローによる撃墜で占めます
AIM-7スパローの泣き所はセミアクティブレーダーホーミングという誘導方式を採用しているため発射から命中まで常に母機側で誘導しなければならないところにあります。発射前に目標をレーダーでロックオンし、命中までロックオンしつづけなくてはなりません。その間に一瞬でもロックが外れるとミサイルは絶対に命中しません。
母機レーダー波が目標に照射され、その反射してきたレーダー波をミサイル先端のシーカーヘッドで感知しその反射波をたどって目標へ誘導されるのです。ですから、同時に複数の目標へ対しての攻撃は不可能なのです。
ただし例外があります。FLOOD発射モードという少し変わった発射方法で敵機をロックオンせずに自機の前方12度の円錐内を「レーダー波で満たしてやる」ことにより、発射後AIM-7スパローが適当な目標に誘導されます。ただしミサイルには敵味方識別装置は取り付けられておりません。例え目標が味方でも容赦なく追尾し撃墜してしまうことでしょう。
米軍ではAIM-7は現役を退きつつありAIM-120AMRAAMにその道を譲っていますが、他の多くの国では未だにAIM-7は主力中射程AAMでありつづけています。
名称 | AIM-7M SPARROW III |
用途 | 中距離空対空戦闘 |
重量 | 507ポンド(230キログラム) |
全長 | 12フィート(3.64メートル) |
直径 | 8インチ(12センチメートル) |
操縦翼幅 | 3フィート4インチ(1メートル) |
弾頭 | 環状破片弾頭(39キログラム) |
エンジン | 固形燃料ロケット |
誘導方式 | セミアクティブレーダーホーミング |
最大射程距離 | 最大射程30海里 |
単価 | 125000ドル(1437万円) |