コックピット
上の写真は航空自衛隊の主力戦闘機F-15J(非MSIP)のコックピットです。ごらんのとおり時計型の計器が並び、極端に言えば50年前のF-86時代と大差はありません。これは「どんな相手にもどのような状況下でも勝てる機体」をつくるために、あえて冒険はせず今までの技術の蓄積を最大限に活かしたわけです。結果的に100機を撃墜しいまだ損害ゼロという素晴らしい戦闘機に仕上がったのかもしれません。が、F-15Eは既にF-16等で蓄積されている新技術を投入にする必要がありました。より過酷な地上攻撃任務を付加するにはコックピットも大きく改装する必要があったのです。
こちらはF-15Eのクルーが実際の訓練に使用する本物のシミュレーターのコックピットです。もう従来のイーグルの面影が全く残っておりません。より洗練された広角HUDに時計型計器がほぼ全て駆逐され、代わりに3つのMFDが配置されました。見るからに最新の戦闘機に生まれ変わったのです。MFDはいつどのような時でも変更できるのでさっきまでレーダーとして使用していた画面を今はLANTIRNとして使用したり汎用性が高く、より高密度な機能をコックピットに投入できます。
この写真は左MFDから航法用照準LANTIRN、HSI(姿勢制御系)、航法用LANTIRN画面となっています。
左MFDの下の計器は予備の昇降率計や対気速度計、高度計など飛行に必要な計器が並んでおり、右MFDの下はエンジンと燃料関係の計器が集中配置されています。HUDの下と、中のMFDの上の計器はHUD表示に関するスイッチ類とIFFやオートパイロット、通信を行うための計器です。
こちらは兵装システム仕官(WSO)のコックピットです。こちらもわずらわしいスイッチや計器は全て消え去りMFDのボタンで、戦闘に必要なほとんど全ての操作が可能です。
計器操作のほとんど後部座席のWSOが行い、パイロットは操縦/索敵/兵装発射に専念することが出来ます。(しかしパイロットが何もしないわけではありません。その気になれば全部座席で全ての操作をこなすことも可能です)
WSOのコックピットには右利き左利きどちらでもやりやすいようにサイドスティックが2本装備されており、レーダー画面のカーソル移動やレーダー視程範囲の設定などを行います。