〜LINK-16 JTIDS〜

LINK-16 JTIDS:Joint Tactical Infomation Distribution System:統合戦術情報分配システムは、戦闘機、爆撃機、AWACS、イージス艦、空母、戦車、司令部等、陸海空軍海兵隊のあらゆる個体の兵器を一つの「端末」として位置付け、AWACSやJ-STARSのような指揮統制機や地上司令部をサーバーと見たられる、さながらインターネットのような情報システムで、戦闘機に例えるならば、ミサイルや爆弾の数、任務、予定飛行経路、燃料の残量、機体の損傷情報、位置、高度、針路、速度、探知している敵機の情報、交戦状況、これら全ての情報を指揮側で一元管理することの出来るシステムです。RMA(軍事革命)と呼ばれる、戦争の情報革命はこのJTIDSが大きな役割を担っています。


TSD(Tactical Situation Display:戦術状況ディスプレイ)

一元管理されている情報は、各種「端末」(戦闘機、車両、戦闘艦等)に分配され、友軍の位置や敵脅威の位置と針路などを参照することができ、たとえば防空戦であらばイギリスvsナチスドイツのバトル・オブ・ブリテンから行われているような、レーダーサイトからの「方位090距離50マイルの敵機と交戦せよ」というような音声による指示のみではなく、上写真のようなTSDの地図上に友軍機と脅威の情報が表示されます。これらはAWACSから秘話暗号通信で受信される情報であり、自らがレーダーを使用せずとも目標の情報を得ることができます。

逆に自らのレーダーで航空機を捉えた場合には、その情報はAWACSへと送信され、同じように他の「端末」へと分配されます。この機能を使用することによって、自らレーダーを使用せずとも、自機以外の友軍機がロックオンしている敵機へAIM-120AMRAAMを発射することが可能です(AIM-120項にも書いてあります)。この際のAIM-120の中間アップデートはAWACSが行います。

対地航空作戦において、CASやBAIのようなあらかじめ固定した目標が無い空対地攻撃であらばJ-STARSやFACといった指揮/管制を行う支援機から、目標座標の指示を受け取りHUDやJTIDS画面(上)に表示することができます(CAS項にも書いてあります)。この座標と自機との相対位置はGPSおよびINSにより高機動を行っても誤差が生じることはほとんどありません。
戦略目標への攻撃を行うINTミッションでも、被探知を避けるためEMCON(電波輻射制限)状況下でのNOE(地形追随)飛行中にも脅威情報を常に得るこ出来、仮に自衛をしなければならない場合でも迅速に対応することが可能です。

特に対地航空作戦ではAN/APG-70のレーダーモードを空対地にしているでしょうから、JTIDSによる脅威情報入手は自己防衛にかなり有効であると考えられます。

素晴らしきはF-15Eには二つの頭脳と四つの目、四つの腕があるということです。交戦中など、単座戦闘機ならば状況確認の出来ないような情況でも、理論上、作業負担が1/2であるストライクイーグルは、常に状況認識を容易に行えるでしょう。
これらやり取りされるディジタルデータ、及び音声は全て暗号化が施されており、暗号キーなくして復元する事は出来ません。暗号キーは頻繁に変更されているため、解読に成功したところでその暗号と、情報は既に陳腐化しており、戦術的に意味をなしません。

なお、戦術情報は各端末のクルーや現地の司令官だけではなく、衛星中継によりホワイトハウスやペンタゴンにまでリアルタイムで送信されます。指揮系統ピラミッドの最頂点である国家指導層から最下位の戦闘機や戦車まで完全に相互データリンク接続されている限り、あらゆる状況下において常に有利に戦闘を進めることができます。

JTIDSは米国のみではなく、同盟国、すなわちイギリスやフランス、日本の陸海空部隊とも相互リンクされており、F-15Eとトーネードといった別の国の航空機同士がLINK-16を通じて情報を共有する事が可能で、共同作戦において非常に重要な役割を持っております。



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