〜AGM-130〜


GBU-15TV/赤外線画像誘導爆弾にロケットモーターを取り付けたミサイル。
発射後、ロケットモーターに点火し加速し、燃焼しきった後はロケットモーターを投棄して滑空する特異な弾道を描き目標へと突入します。
誘導方式はGBU-15と同じでTV/赤外線画像認識誘導を行い、弾体にはMk-84通常爆弾、クラスター爆弾、滑走路破壊爆弾等多種に渡る爆弾を入れ替えることができます。

弾体の先端にTVシーカーがあり、昼夜間問わずに赤外線画像をコックピットのMFDに映し出し、クルーは発射前に目標を選択してロックオンし発射します。赤外線TV画像は無線データリンクを使用して母機からの切り離し後も継続して画像を送信しつづけ、母機からの誘導を受けます。パイロットはF-15Eを離脱させて安全を確保することが出来ます。なおこの兵装の使用にはAN/AQX-14データリンクポッドが必須となります。

母機からの誘導を受けつづけ、そしてGBU-15と同様に送信されつづける映像から目標を選定してロックオンし最終誘導段階に入ります。テレビなどでカメラが壊れるまで(着弾)の映像が映し出されることがありますが、それはおそらくAGM-130から送信された映像であると思われます。

非常に使い勝手がよいミサイルで、射程も長く命中率も高いと評判も上々、しかし発射から終端誘導段階に入るまでの中間誘導システムであるデータリンクの信頼性が低く、1999年1月のイラク空爆ではミサイルと発射母機(F-15E)のデータリンクが途切れ途切れになりうまく飛翔しませんでした。そこでクルーは目標へのロックを解除し誤爆を避けるために砂漠へ着弾させようと試みましたが、すでにロケットの燃料が切れてブースターは投下されており、滑空させるだけの高度もありませんでした。結局人家の無い場所へ誘導しきれずに街中に落ちてしまい、罪の無い一般市民11人が死亡し、数十名が重軽傷を負いました。

データリンクシステムを改良した型は、ユーゴスラビアのグルデリツア鉄橋を破壊する際に民間人が多数乗っていた電車ごと吹き飛ばしてしまうと言う事件もあったのは最近の出来事なので記憶に新しいです。ちなみに、電車に乗っていた75人の方が亡くなられました。
こちらの誤爆は湾岸戦争の場合とは違い正確に命中してしまったから起こった悲劇でありクルーやミサイルには何の落ち度もありません。もっとも、どちらの場合にせよ兵装発射したパイロットとWSOは気まずさが抜けないでしょうが…

2001年2月のイラク空爆では、5発投下し、3発命中。と一発必中の兵器にしては命中率が低いですが、今まで公表されていた(予測されていた)AGM-130の射程距離の倍以上から発射され、その秘めたる能力を見せ付けました。

写真では分かりにくいのですがこのミサイルは非常に大きく人間もすっぽり入ってしまうほどです。

F-15E専用の兵装ですがF-16用のAGM-130LWも開発されました。しかしAGM-130LWは弾頭がMk-83 1000ポンド通常爆弾であり、破壊力に劣ります。
ロケットモーターをジェットエンジンに変更したバージョンのテストに開発しており、射程距離が3倍と飛躍的な能力アップが行われました。
2001年現在、実戦配備されている2000ポンドクラス爆弾の弾頭をつけた戦術戦闘機用スタンドオフ兵器はAGM-130以外にありません。F-15Eの最重要兵装として今後も重宝されるでしょう。

スケールは1m

名称 AGM-130A/B/C
用途 戦略価値建造物破壊
重量 2500ポンド(1125キログラム)
全長 12フィート10.5インチ(3.91メートル)
直径 18インチ(0.45メートル)
操縦翼幅 4フィート11インチ(1.49メートル)
弾頭 Mk-84/BLU-109等
誘導方式 GPS慣性+テレビ/赤外線画像認識(データリンク)
最大射程距離 5-50海里(発射高度による)
配備年 1983年
単価 245000ドル(2810万円)


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